「イメージ通りの画像がなかなか見つからない…」
Webデザイナーなら誰もが経験する悩みを、ボタン一つで解決してくれる魔法のような技術、それが 生成AI です。
ChatGPT
ChatGPTをはじめとしMidjourney、Stable Diffusion、Adobe Fireflyなど、高品質な画像を生成できるツールが続々と登場し、Webデザインの世界にも大きな変化が訪れています。
しかし、手軽に利用できるようになったからこそ、 著作権や倫理的な問題 について、改めて考えてみる必要が出てきました。
生成AIで生成した画像をWebサイトに利用する場合、一体どんな点に注意すれば良いのでしょうか? この記事では、Webデザイナーが知っておくべき生成AI画像の著作権・倫理的問題と、安全に活用するための対策を詳しく解説していきます。
生成AIで生成された画像の著作権は誰のもの?
「AIが作った画像の著作権って、実際どうなってるの?」
…確かに、気になりますよね!
結論から言うと、AI画像の著作権は「まだハッキリとしたルールが決まっていない」というのが現状です。
日本の法律では、これまで「著作権は人間の創作物に発生する」と考えられてきました。つまり、AI単独で作った作品には著作権は発生しない、とされてきたわけです。
でも、最近はAI技術が進化して、高品質な画像を生成できるようになりました。そのため、「AIが作った作品」と「人間が作った作品」の境界線が曖昧になってきているのが現状です。
さらに、私たちWebデザイナーがAIツールを使う場合、詳細な指示を出して画像を生成したり、後から編集を加えたりすることもありますよね?
そういった場合、人間の創作活動が認められれば、私たちに著作権が発生する可能性も出てきます。
難しいのは、AIツールによって著作権の扱いがバラバラなところです。
例えば、
- ChatGPT:OpenAIの利用規約によれば、ChatGPTを使用して生成された画像の権利はユーザーに譲渡されます。またDALL-E 3を使用して生成された画像は、商用利用が認められています。無料版でも1日2枚と制限はされますが2024年8月から画像生成機能「DALL-E 3」が利用可能になり商用利用可能です。
- Midjourney: Midjourneyの利用規約によれば、ユーザーは生成した画像の権利を所有します。また商用利用は有料プランなら商用利用OKですが、無料プランはNG。生成画像は他のユーザーと共有されます。
- Stable Diffusion: Stable Diffusionで生成された画像の権利は、基本的にユーザーに帰属します。生成した画像は、基本的に商用利用が可能です。オープンソースなので比較的自由に使えるけど、学習データの著作権には注意が必要です。
- Adobe Firefly: Adobe Fireflyで生成された画像はユーザーに多くの権利が与えられています。商用利用に関しては2023年9月13日より無料プランでも商用利用が可能になりました。無料版は毎月25枚、単体プラン加入で月500枚、Adobe Creative Cloudの有料プランに入っていれば毎月1000枚まで生成画像を商用利用できます。
このように、ツールによってルールが異なるので、必ず事前に利用規約を確認することが重要です!
加えて、クライアントワークでAI画像を使う場合は、事前に説明して同意を得ておくことも大切です。
AI技術は日々進化しているので、法律やルールも変わっていく可能性があります。
Webデザイナーとして、常に最新の情報を確認しながら、AIと上手に付き合っていきたいですね!
Webデザインで生成AIの画像を使用する際の注意点
生成AIの画像をWebデザインに利用する際には、著作権以外にも、いくつかの注意点がありますので一緒に確認していきましょう!
1. 著作権・商用利用に関する注意点
- 生成AIツールの利用規約を必ず確認する: 上記で説明した通り、ツールによって著作権や商用利用に関するルールは異なります。必ず公式ページで最新の情報を確認しましょう。
- 商用利用可能なライセンスを選択する: 商用目的で利用する場合は、商用利用が許可されたライセンスを選択しましょう。有料プランへの加入が必要な場合もあります。
- 必要に応じてライセンス表記を行う: ツールによっては、生成した画像を使用する際に、特定のライセンス表記を求められる場合があります。
- 著作権侵害のリスクを理解しておく: 生成AIの中には、インターネット上の画像データを学習しているものがあります。そのため、生成された画像が既存の著作物を意図せず模倣してしまい、著作権侵害に該当する可能性もゼロではありません。
2. 倫理的な問題点
- 既存のクリエイターへの影響: 生成AIの普及により、写真家やイラストレーターなど、画像制作を生業とするクリエイターの仕事が奪われる可能性も懸念されています。生成AIを利用する際には、そういった影響についても意識しておくことが大切です。
- 倫理的に問題ない画像生成を心がける: 生成AIの中には、倫理的に問題のある画像を生成できてしまうものも存在します。差別的な表現や、特定の人物を誹謗中傷するような画像は生成しないように注意しましょう。
- 生成AIの利用に関する透明性を保つ: Webサイトに掲載する画像に生成AIを利用した場合は、その旨を明記することで、ユーザーからの信頼を得ることができます。
3. 品質・オリジナリティに関する注意点
- 生成AIの出力結果をそのまま使用せず、独自の編集を加える: 生成AIが生成する画像はあくまでも素材です。そのまま使用せず、Photoshopなどで色調補正やトリミングなどの編集を加えることで、よりオリジナリティの高い作品に仕上げることができます。
- 他の素材と組み合わせるなど、オリジナリティを出す: 生成AIで生成した画像と、写真やイラストなどの他の素材を組み合わせることで、より独自性の高いデザインを生み出すことができます。
- 目的やターゲットに合致した画像かどうかを判断する: 生成AIは高品質な画像を生成できますが、必ずしも目的やターゲットに合致した画像を生成できるとは限りません。生成された画像がWebサイトの目的やターゲットに合っているかどうか、最終的には自身の目で判断することが重要です。
生成AIの画像を安全に活用するためのポイント
1. 信頼できる生成AIツールを選ぶ
- 利用規約が明確である: 著作権や商用利用に関するルールが明確に記載されているツールを選びましょう。
- 著作権に関する情報が明記されている: 生成された画像の著作権の帰属先や利用条件が明記されているツールを選びましょう。
- ユーザーの評価が高い: 実際に利用したユーザーからの評価が高いツールを選ぶことで、安心して利用できます。
2. 生成AIの出力結果を過信しない
- 著作権侵害の可能性がないか、必ず確認する: Google画像検索などを活用して、生成された画像が既存の著作物と酷似していないかを確認しましょう。
- 倫理的な問題点がないか、自身の目で判断する: 生成AIが出力した画像が、倫理的に問題ないかどうか、最終的には自身の目で判断することが重要です。
- 必要に応じて、専門家の意見を聞く: 著作権や倫理的な問題に関して不安な場合は、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
3. 生成AIとの付き合い方を考える
- 生成AIはあくまでもツールの一つと捉える: 生成AIはあくまでも、Webデザイナーの創造性をサポートするためのツールの一つです。生成AIに頼りすぎることなく、自身の感性やスキルを磨くことを意識しましょう。
- 自身の創造性を高めるために活用する: 生成AIを活用することで、今まで思いつかなかったような新しいアイデアや表現方法を発見できる可能性があります。生成AIを自身の創造性を高めるためのツールとして、積極的に活用していきましょう。
まとめ:生成AIの画像を正しく理解し、Webデザインに活かしていこう!
生成AIは、Webデザイナーに新たな次元の表現力を与える強力なツールです。これにより、今までにないクリエイティブなアイデアや視覚的表現を、より自由に、かつ豊かに実現することが可能となっています。
生成AIは、デザインのプロセスにおいて革新を促し、特に複雑でユニークなビジュアルコンテンツを迅速に生み出すことができるため、デザイナーの創造領域を大幅に拡げる力を秘めています。
しかし、その素晴らしさの背後には、注意すべき点も存在します。特に著作権や倫理的な側面からの課題は重要で、これを理解し適切に対応することが求められます。
生成AIを利用する際は、そのメリットを最大限に引き出す一方で、デメリットやリスクをしっかりと把握し、責任を持って活用することが、Webデザイナーとしての使命であり、ひいてはプロフェッショナルなクリエイターとしての矜持とも言えるでしょう。
生成AIの技術は、日進月歩で進化し続けています。そのため、Webデザイナーは日々の学習を怠らず、新しい情報や技術に関心を持ち続けることで、生成AIを効果的にスキルアップに結びつけることができます。そして、その力を使って、より魅力的で、よりインパクトのあるWebデザインを生み出していくことが期待されています。
デザインの未来を見据えながら、生成AIを賢く活用し、クリエイティブな表現を次なるステージへと推し進めていきましょう。