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7大「Deep Research」AIサービス徹底比較!OpenAI ChatGPT・xAI Grok3・Perplexity・Google Gamini・Scira・Kompas AI・Elicitの特徴やその違いはいかに?

近年、大規模言語モデル(LLM)の進歩により、手間や時間がかかる情報収集・文献調査・レポート作成などの“リサーチ”作業を大幅に効率化できる「Deep Research」サービスが注目を集めています。
GoogleやOpenAIなどの大手企業から、学術分野に特化したElicit、オープンソース型のSciraまで、多彩な選択肢が登場し、それぞれ独自の強みや機能を提供しています。

この記事では、代表的な7つのDeep Researchサービスの特徴を整理し、どのような場面・用途に向いているかを分かりやすくまとめました。これからAIを活用した調査や分析を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。


目次

Deep ResearchについてDeep Researchしてみました

まずは各社の提供するDeep Research機能について、一番高性能と言われている(というか私が課金してただ使いたいだけ)ChatGPT Deep Researchエージェントを使って、OpenAI、xAI、Perplexity、Google、Scira、Kompas AI、Elicitの各社が提供するDeep Researchサービスについて、以下の観点で詳細に調査しました。

  • 主な機能(情報検索、データ分析、要約、論文執筆補助など)
  • AIのモデルや技術(使用するLLM、独自技術など)
  • 対応言語
  • 料金体系(無料プランの有無、サブスクリプションの価格など)
  • 主なターゲットユーザー(研究者、企業、一般ユーザーなど)
  • データソース(使用する情報の出典、信頼性)
  • 競争優位性(他社と比較した強み)

OpenAI(ChatGPT Deep Researchエージェント)

  • 主な機能: インターネット上の情報を自動でマルチステップで調査し、数多くのウェブ情報源から情報を統合して引用付きの包括的なレポートを作成します。ユーザーが提供したデータ(スプレッドシートなど)を文脈として取り込むこともでき、調査アナリスト並みの詳細な要約を生成します。
  • AIモデル・技術: OpenAIが開発中の新型大型言語モデル「GPT-o3」の特殊バージョンを使用しており、ウェブ閲覧と分析に最適化されています。ブラウジングツールとGPTの推論能力を組み合わせて動作し、将来的にはOpenAIの他エージェント「Operator」(実世界のアクションを実行できるAI)との連携も計画されています。
  • 対応言語: 主に英語です(サービス開始時点では英語で提供)。ChatGPTの一機能であるため、多言語の理解・応答自体は可能ですが、ウェブ調査機能は主に英語のコンテンツで最適化・テストされています。
  • 料金体系: ChatGPTの「Pro」加入者(月額200ドル)のみに提供されています(Deep Researchエージェントの実行は月100回まで)。標準のChatGPT Plus(月額20ドル)には現時点では含まれていませんが、今後Plusやチームプラン利用者にも拡大予定とされています。エンタープライズ向けも順次提供予定です。
  • 主なターゲットユーザー: プロの調査員やアナリストなど、高度なリサーチを素早く行う必要のあるユーザーを想定しています(例:市場アナリスト、学術研究者、調査報道記者)。高価格かつ高度な分析機能のため、カジュアルなQ&Aよりも企業や専門家向けの用途に位置付けられています。
  • データソース: ウェブ上の公開情報全般を対象としており、エージェントが検索エンジンを用いてインターネットをリアルタイムに巡回・閲覧します。収集した情報源はすべて回答に引用という形で明示されます。また必要に応じてユーザーがアップロードしたファイル(CSVや表計算ファイルなど)も情報源として取り込み分析に活用します。
  • 競争優位性: 非常に綿密かつ自律的な調査能力で、約10~30分で人間が何時間もかけて行う作業を完遂できる点です 。OpenAIの最新モデルによる強力な知識集約力があり、広範な試験でも既存モデル(GPT-4など)を大幅に上回る性能を示しました(例:「人類最終試験」で26.6%の正答率を記録し、GPT-4の3.3%やGrok-2の3.8%を大きく凌駕)。引用付きで詳細なレポートと、その推論過程の要約まで提供できる点は他にない差別化要素ですが、その分料金は非常に高額です 。

xAI(Grok)

  • 主な機能: 高度な推論能力を持つ対話型AIチャットボットです。質問に対して複数のモードで回答する点が特徴で、例えば深く考察する「Think」モード、複雑な問題に臨む「Big Brain」モード、そしてウェブ検索エンジンのように動作する「DeepSearch」モードを備えています。またGrokはX(旧Twitter)のコンテンツにリアルタイムでアクセス可能であり、ソーシャルメディア上の最新情報を回答に取り込むことができます。(ユーモアあるカジュアルな口調で応答するよう設計されている点もアピールされています。)
  • AIモデル・技術: xAI独自の大規模言語モデル「Grok」シリーズによって駆動されています。最新のGrok 3(2025年公開)は3140億パラメータのMixture-of-Experts(専門家混合)モデルで、非常に大規模な計算資源で学習され、強化学習によって推論能力を高めています。xAIはGrok 3が前世代(Grok 2)より桁違いに高性能であり、OpenAIのGPT-4系列に匹敵する性能を持つと主張しています。なお初期のGrok-1モデルはオープンソースとして公開されており、今後も旧モデルの公開が計画されています。
  • 対応言語: 主に英語が中心です。Grokは他のLLM同様インターネット上の多様なテキストで学習されているため主要言語にはある程度対応できると推測されますが、提供されているデモやユースケースは英語圏が中心です。特にX上のデータ統合に強みを持つため、そのプラットフォームで多い英語コンテンツへの最適化が主体となっています。
  • 料金体系: 現在、GrokはXの有料会員プランの一部として提供されています。当初一部機能は有料会員(Premium)で試用可能でしたが、Grok 3の全機能は最上位のX Premium+加入者のみが利用できます(最近米国で月額約40ドルに値上げ)。さらに高度な「SuperGrok」的機能は追加の月額30ドルプランが必要になるとも報じられています 。※2024年末にはGrok 2が一時一般無料開放されましたが、最新版Grok 3は有料壁の内側にあります。
  • 主なターゲットユーザー: X(Twitter)プラットフォームのユーザー、とりわけその中でもプロフェッショナル層やテック愛好家で、ソーシャルメディアと統合されたAIアシスタントを求める人々です。またChatGPTやBardに対抗する高度AIチャットボットとして位置づけられており、そうした先進機能を試したいユーザー、あるいはChatGPTでは物足りないと感じるユーザーにも訴求しています。ユーモアや歯に衣着せぬスタイルを備える点は、従来のChatGPTを堅苦しく感じた層にもアピールするとされています。
  • データソース: 学習にはインターネット上の大規模データが用いられています。リアルタイム情報に関してはX/Twitterの投稿データを直接参照できる点がユニークで 、最新のトレンドや議論を回答に反映できます。また「DeepSearch」モードにより、X以外の一般ウェブも検索・閲覧して回答に取り込むことが可能です。これによりソーシャルメディアとWeb双方から情報を得ることができます。
  • 競争優位性: 大規模ソーシャルメディア(X)のデータに直接アクセスできる唯一の主要チャットボットであり、タイムリーな情報提供や文脈理解が可能です。また高度な推論力と独自の個性的な回答スタイルを持つ点も特徴です。さらにxAIは旧モデルのオープンソース公開やモデルの改良スピードにも注力しており、コミュニティからの信頼や迅速なアップデートを志向しています。総じて、Grokは最新データへの直接アクセスと最先端モデルの推論力を組み合わせ、Xユーザー向けに提供している点が強みです。

Perplexity AI

  • 主な機能: AIを搭載した検索エンジン兼チャットボットで、ユーザーの質問に対しウェブ上の情報を要約した回答を提示し、その根拠となる出典URLを明示します 。対話形式で追問にも応答でき、一般的なWeb検索モードのほか学術論文に焦点を当てたモードや創造的な回答をするモードなど、目的に応じて検索スタイルを切り替えることが可能です。ウェブページや文書の要約もワンクリックで行え、ユーザーがアップロードしたファイル(PDF・CSVデータ・画像など)の内容分析にも対応しています(これらは有料版の機能)。また「My Space」という機能で自分の調査資料を保存・整理でき、他者と共有して共同で知識ベースを作ることもできます。スマートフォン用アプリ(iOS/Android)やブラウザ拡張機能も提供されており、移動中や他サイト閲覧中でも活用できます。
  • AIモデル・技術: ユーザーからの問いを解釈し回答を生成するために大型言語モデル(LLM)を利用しています。無料版では応答速度重視のやや軽量なモデル(GPT-3.5相当の性能)が用いられ、簡易な質問であれば無制限に利用できます。有料のPro版ではOpenAIのGPT-4(アプリ上では「GPT-4 Omni」として提供)やAnthropicのClaude 3など、より高度で詳細な応答が可能なモデルを選択できます。バックエンドでは質問毎にウェブ検索を行い、その検索結果から関連情報を抽出してLLMに与え回答を構成する「検索強化型の応答生成(RAG)」を採用しており、常に最新の情報に基づいた回答と出典提示を両立しています。また開発者向けにはAPIも提供されており、最新のオープンソースLLM(例:Llama 3)や独自モデルも組み合わせて利用できるよう設計されています。
  • 対応言語: 複数言語での質問・回答をサポートしています。インタフェースやドキュメントは英語ですが、LLMの多言語対応力を活かし日本語を含む主要言語で質問すればその言語で回答することも可能です。ただし検索結果の情報量は英語が最も多いため、回答の精度や詳細さは英語の場合が特に高い傾向があります。
  • 料金体系: 無料プラン: ベーシックな検索回答機能は無料で無制限に利用でき、高度なモデルを用いた詳細回答も1日3回まで試せます。Proプラン: 月額20ドル(年額200ドル)で、GPT-4やClaudeを用いた高度応答やファイル分析機能が無制限に使え、応答速度の向上や優先サポートも受けられます。エンタープライズ: 企業向けにはより高機能なチームプランが提供されており、1ユーザーあたり月額約40ドル(年額契約)を目安に、チーム共同利用やAPIアクセスなどに対応します。
  • 主なターゲットユーザー: 非常に幅広いユーザー層を想定しています。無料版は日常的な疑問に答えるスマート検索エンジンとして一般ユーザーに、また学生や教員が手軽に情報収集・確認する用途にも適しています。Pro版は論文やレポートを調べる学生・研究者、市場調査など専門的な情報収集が必要なビジネスパーソンといった高度利用者に支持されています。エンタープライズ版は企業内でのナレッジ共有や業務効率化を目的に導入されます。
  • データソース: 主にオープンなウェブ情報です。問い合わせごとに検索エンジンを介してインターネット上の最新コンテンツを取得し、「信頼性の高いウェブサイト」から情報を抽出して回答します。そのため情報は常に最新のニュースや更新に追随しています。加えてPro版ではユーザー自身の提供する文書やデータを取り込んで、それらからも回答を導き出すことができます。独自の静的な知識ベースを持つわけではなく、常に外部の情報源にアクセスしている点が特徴です。
  • 競争優位性: あらゆる回答に根拠となる出典リンクを示すため信頼性・透明性が高いことが挙げられます 。検索エンジンとAIアシスタントの強みを組み合わせており、ユーザーが自分で多数のサイトを調べて要点をまとめる手間を大幅に省いてくれます。他の汎用チャットボットと比べると、検索結果に基づいて回答を生成するため事実誤り(幻覚)のリスクが低く、常に最新情報にアップデートされています。また画像やPDFなど様々なデータ形式にも対応し、複数のAIモデルを使い分け可能とするなど、柔軟性と多機能さも強みです。基本機能は無料で使え、上位機能も手頃な価格で提供されていることから、一般からプロまで幅広く利用が進んでいます。

Google(Gemini Deep Research)

  • 主な機能: Googleの次世代AI「Gemini」(Bardの後継)に搭載された研究支援エージェント機能です。Deep Researchは複雑な質問を受けると自律的に課題を分解して調査プランを立案し、ユーザーに手順を提案します。ユーザーが承認するとAIがウェブ検索を実行し、多数の検索結果を読み込んで分析を進めます。数分後には、主要な発見事項を整理した読みやすいレポートが生成されます。レポートには情報源へのリンクが付されており、元のページを簡単に検証できるようになっています。生成結果はワンクリックでGoogleドキュメントにエクスポート可能で、さらなる編集や共有が容易です。またレポート内容について追加の質問を投げたり、絞り込みを指示したりして、より深く調査を継続することもできます。要するに、オンライン上で本来何時間もかかる文献調査や情報比較の重労働をAIが肩代わりし、ユーザーの時間を節約することを狙っています。
  • AIモデル・技術: GoogleのGeminiモデル群によって駆動されています。特に「Gemini 1.5 Pro」モデルと、調査プランニング・ブラウジング用のエージェントシステムを組み合わせて動作します。Geminiは超大容量のコンテキストウィンドウ(最大100万トークン)を備えており、非常に大量のテキストを一度に読み込み統合することが可能です 。AIエージェントはGoogle検索のノウハウを活用して関連情報を見つけ、専用の閲覧アルゴリズムでウェブページを読み込みます。2024年末には最新版のGemini 2.0も発表されており、Deep Research機能も今後Geminiの進化に伴ってさらなる能力向上が期待されます。
  • 対応言語: 開始当初は英語のみで提供されています。GoogleはBardで多数言語を扱ってきた実績がありますが、この高度な機能はまず英語圏向けに公開されており(主に英語のWeb情報を扱うため)、順次他言語にも拡大される見込みです。
  • 料金体系: Deep ResearchはGemini Advancedという上位サービスの一部機能で、特定の有料ユーザーのみ利用できます。個人向けには、Google Oneの「AIプレミアム」プラン(月額約20ドル)などGemini Advancedにアクセス可能なサブスクリプションに含まれます。企業や教育機関向けには、Google Workspaceのエンタープライズ向けプランでGemini Advancedが利用可能な場合にDeep Researchが使えます。要するに、Bard自体は無料公開されていますが、その上位版である高度モデルGemini(およびDeep Research機能)は有料のGoogleサービス加入者限定となっています。
  • 主なターゲットユーザー: 大学院生や研究者、アナリストなど、大量の情報収集を日常的に行う知識労働者です。Googleはユースケース例として、ロボット工学の発表準備をする大学院生、ビジネス立ち上げのため市場分析を急ぐ起業家、来年の計画策定のため最近の業界事例を調べるマーケター、といった場面を挙げています。つまり、自力でGoogle検索を駆使していたようなユーザーに対し、「その作業はAIに任せてしまおう」という提案で、既存のGoogleエコシステムに慣れたプロユーザーの時間短縮を狙ったサービスです。
  • データソース: Googleの検索エンジン(Google検索)の持つウェブ全体のインデックス情報をフル活用します。AIエージェントはGoogle検索ランキングを利用してインターネット上のあらゆる関連ページを発見し、ニュース記事、学術情報、企業サイトなど幅広い情報源から必要な内容を読み取ります。将来的にはGoogle Scholar等の学術検索や、ユーザー自身のGoogleドライブ上の資料などにも接続され、より専門的・包括的な情報収集が可能になると考えられます。いずれにせよ、参照したソースはレポート内にリンク付きで提示され、透明性が確保されています 。
  • 競争優位性: Googleの強力な検索基盤と統合されているため、他のAIが見落とす情報も発見しやすく、また検索ランキングによる情報信頼性評価を組み込める利点があります。非常に大きなコンテキストウィンドウを持つモデルを使用しているので、多数の情報源に目を通し包括的なレポートを作成できる点も突出しています。ユーザー側から見ると、事前にプランを提示して承認を仰ぐ仕組みで調査方向をコントロールできるため安心感があり、結果もGoogle Docsへのエクスポートなど利便性高く活用できます。モバイルアプリでも利用可能になるなどGoogle製品ならではの広い展開も強みです。総合すると、Google Deep ResearchはGoogleの莫大なデータインデックスを背景に、他社より最新かつ適切な情報を引き出せる可能性が高く、ユーザーの時間節約に直結するサービスとして位置付けられています。

Scira

  • 主な機能: 無料のオープンソースAI検索エンジンで、詳細な回答を出典付きで提供します。Sciraはウェブ検索とウェブページのスクレイピングを行った上でAIによる推論で回答を生成し、リアルタイムに最新の情報を反映します。他のDeep Research型エージェント同様に多段階の詳細な調査(Sciraでは「Extreme」モードと呼ばれる)が可能で、複数の検索クエリを連鎖させ徹底的に掘り下げた答えを返せます(ユーザーコミュニティの報告より)。テキスト以外の能力として、ユーザーが提供する画像を理解・説明することが可能で、質問中の計算問題やデータ解析をリアルタイムに実行することもできます。実際、複雑な概念の解説、研究課題の支援、技術的問題の解決など、多岐にわたる用途にシンプルなUIで応答します。
  • AIモデル・技術: 複数の基盤AIモデルを用途に応じて組み合わせて活用しています。公式サイトによれば、xAIのGrok 2.0、AnthropicのClaude (v3.7)、オープンソースのLlama 3.3モデル、そして独自のDeepSeek R1という推論特化モデルを統合的に利用しています。これらを組み合わせ、まず検索コンポーネント(Tavily AIの検索技術を利用)で関連情報を取得し、それをモデル群に与えて回答を構成するRetrieval-Augmented Generation(検索強化型応答生成)を実現しています。オープンソースであるためコミュニティによる改善が進められており、GitHubで4000以上のスターを獲得するなど開発者からも注目されています(誰でも内部の仕組みを検証・自己ホスト可能です)。
  • 対応言語: インタフェースは英語で提供されており、基本的には英語での質問に最適化されています。ただし、ClaudeやGrokなど大規模モデルを内包していることから一定の多言語能力は備えていると考えられます。公式に多言語対応の記載はありませんが、主要な言語であれば質問・回答は試みることができるでしょう(画像理解機能などは言語非依存に動作します)。
  • 料金体系: 完全に無料で利用できます。Sciraはオンラインで誰でもサインイン不要でアクセス可能であり、ソースコードも公開されています。ほとんどの他社サービスが高度機能を有料としている中で、Sciraは全機能が全ユーザーに無料開放されており、高度な「Extreme」リサーチモードも制限なく使えます。開発者らは、高額なクローズドなリサーチエージェントに対するコミュニティ主導の代替として位置付けています。
  • 主なターゲットユーザー: 「すべての人に開かれた」ツールとして設計されており、学生から独立研究者、プロフェッショナルまで、AIによる情報収集・分析を必要とする幅広い層を対象としています。具体的なユースケースとして、学術研究者にとっての文献レビューやデータ解釈、ビジネスパーソンの市場調査や技術文書の要約、学生の課題解決や難解なトピックの理解補助などが想定されています。特に有料ツールを利用できない個人や、AI検索を試したい開発者にとって手軽に使える選択肢となっています。
  • データソース: 統合された検索APIを介してウェブ検索を行い、その検索結果ページの内容をスクレイピングしてモデル群に提供しています。回答では信頼性の高い情報源を重視しており、実際の例ではNature誌やIBM Research、MIT Technology Reviewといった信頼性の高いソースが引用として示されています。学術系の質問に対してはオープンな学術データベースを利用した文献検索的な挙動もできます。基本的にはインターネット上で公開されている情報はすべて対象となります。またユーザーが画像を入力した場合はそれを分析対象データとして扱います。
  • 競争優位性: 無料かつオープンである点が最大の特徴です。多くの機能はクローズドなサービスに匹敵しますが、誰でもコストをかけず利用でき、内部のアルゴリズムも透明です。複数モデルを組み合わせていることで幅広い問題に対処でき(あるモデルの弱点を他で補完するような動作が可能)、コミュニティ主体で改善を重ねられるため進化も速いです。既に画像理解や計算実行などの機能も備えており、一部の競合他社ではプラグイン等が必要なところを標準搭載している点も利点です。GoogleやOpenAIほど最新・巨大なモデルではないかもしれませんが、料金を払わず高度なリサーチ補助を得たいユーザーにとって有力な選択肢であり、オープンであることによる信頼性・拡張性も武器となっています。

Kompas AI

  • 主な機能: ユーザーにとっての「バーチャル研究チーム」のように機能するAIツールです。トピックや質問を与えると、Kompasは複数の専門AIエージェントを起動し並行して作業を行います。あるエージェントはウェブ上の数百の情報源を検索・収集し、別のエージェントは得られたデータを分析・抽出し、さらに別のエージェントが知見を統合して整理する、といった具合に役割分担して処理が進みます。その結果、トピックに関する包括的で構造化されたレポートが出力されます。レポートには章立てされた詳しい解説やデータが含まれており(必要に応じて出典も盛り込まれます)、そのまま調査報告書やホワイトペーパーとして使えるレベルのアウトプットが得られます。Kompasには出力を洗練するための「AI編集(AI Edit)」機能が備わっており、生成されたドラフトの口調を変更したり一部を翻訳したり段落構成を並べ替えたりといった調整をAIに指示できます(もちろんユーザー自身が手動で追記・修正することもできます)。プロジェクトごとに調査内容を保存でき、レポートの共有も可能なためチームでの活用にも適しています。ポイントは、一問一答ではなく最初から長文の調査成果物を得ることに特化している点です。
  • AIモデル・技術: Kompasは特定の1つのLLMに依存せず、複数のAIエージェントと各種モデル・ツールを統合するオーケストレーションプラットフォームと言えます。裏側では文章生成・要約には最先端の大規模モデル(GPT-4やClaude等)のAPIを活用し、情報検索には外部の検索APIを使い、翻訳やデータ抽出などには別の専門モデルを使う、といったようにタスク毎に最適なAIを組み合わせています。肝となるのはエージェント同士の協調動作で、一つのエージェントが調査計画を立案し、別エージェントが情報収集を行い、また別が内容を要約し、最後に「統合者」が最終レポートを編纂するといったワークフローをAI同士で完結するよう設計されています。Kompasは「信頼できる情報源」のみを用いることを重視しており、検索段階で情報の質をフィルタリングする仕組みも備えていると考えられます。
  • 対応言語: 基本的な操作画面やデフォルトの出力レポートは英語ですが、多言語の入力・出力にも対応しています。生成したレポート内のセクションを他言語に翻訳することがAI Edit機能で可能であり、必要に応じて日本語などに変換して結果を得ることができます(質問自体を他言語で投げかけた場合でも内部では英語検索が行われるかもしれませんが、回答を指定言語でまとめることは可能です)。全体として英語優先ですが、出力のローカライズや各国語のソース取り込みにもある程度対応しています。
  • 料金体系: Kompas AIは有料サービスで、無料プランはありません。個人のプロ向け利用は月額約19.99ドルから利用可能です。より高度な機能や複数ユーザーでの利用には上位プラン(エンタープライズ向けなど)があり、こちらは利用規模に応じた料金設定(公式サイトで公開されていないカスタム価格)となっています。契約すればプロジェクト数無制限で全機能を利用でき、一定の試用期間やデモは用意されている可能性がありますが、本格利用にはサブスクリプション契約が必要です。
  • 主なターゲットユーザー: ビジネスプロフェッショナル、アナリスト、リサーチチームなど、深いインサイトを含む報告書や分析結果を定期的に作成する層です。ユースケースとしては市場調査レポート、競合分析、事業戦略策定のための調査、学術分野での文献レビュー、政策提言のためのホワイトペーパー作成などが想定されています 。まさに人手でリサーチチームを組んで行っていたような作業を自動化できるため、コンサルタントや大学院生など、詳細なレポートをまとめる必要があるユーザーにとって魅力的です。作業効率を劇的に上げたい企業の調査部門なども主な顧客となるでしょう。
  • データソース: Kompasはオープンウェブから情報を取得します(ニュースサイト、レポート、論文、各種データベースなど質問に応じて幅広くアクセス)。収集する情報は「信頼できる情報源」に限定する方針で、情報の信頼性評価や権威あるサイトの優先度付けが組み込まれていると思われます。場合によってはユーザーが社内資料やデータセットをアップロードして、それも分析に加える機能がある可能性があります(公表資料には明言されていませんが、チーム利用やAI編集機能を考えると独自データの投入も想定されます)。いずれにせよ、最終レポートにはAIエージェントが選択した重要情報がまとめられ、必要に応じて参照元も記載されます。
  • 競争優位性: Kompas最大の特徴はマルチエージェントによるアプローチです。単一のチャットボットの一問一答ではなく、構造化された網羅的なアウトプット(レポート)を自動で生成するため、ユーザーは最終成果物を得るまでの手間を大きく省けます。同じことを他の汎用AIでやろうとすると、何度もプロンプトを工夫して少しずつ文章をまとめる必要がありますが、Kompasでは最初の指示だけで完結する点が優れています 。またユーザー側で出力を微調整できるインタラクティブな編集機能を備えており、これは他にない使い勝手の良さです。一言で言えば「調査・分析・執筆をオールインワンで代行する」ことに特化しており、専門家チーム並みの成果を短時間で得られるのが強みです。代わりに有料にはなりますが、ターゲットとする層にとっては生産性向上による利益がコストを上回るため、十分価値ある投資となるでしょう。

Elicit

  • 主な機能: 論文検索や文献レビューに特化したAIリサーチアシスタントです。研究課題に対する質問を入力すると、学術論文データベース(1億2500万件以上の学術論文)を横断的に検索し、関連性の高い論文をリストアップします 。各論文から得られる知見を要約したり、質問に対する回答を論文のエビデンスに基づいて生成したりできます。また論文PDFから表やデータを抽出して表形式にまとめる機能(データ抽出)があり、ユーザーが指定した項目(例:実験結果の数値など)を複数の論文から自動収集することも可能です。選んだ複数の論文をアップロードし、それらをまとめてAIと対話(「Chat with Papers」機能)して内容を比較検討したりまとめたりすることもできます。さらに上位プランでは、系統的レビュー(Systematic Review)を行うためのガイド付きワークフローが提供されており、検索 → 論文スクリーニング選別 → データ抽出 → レポート作成という一連のプロセスをツール内で完結できます。
  • AIモデル・技術: 質問の理解や論文内容の要約・比較には、大型言語モデル(LLM)が裏で動作しています。具体的なモデル名は公表されていませんが、OpenAIのGPT-4クラスのモデルや同等の高性能モデルをAPI経由で利用していると推測されます。論文のタイトル・要旨から関連度を判断する部分には、専用に調整されたモデルやベクトル検索技術が使われており、数多くの文献から適切なものを絞り込む工夫がされています。またPDFからの情報抽出には自然言語処理技術を駆使しており、表形式データを解析する特別なモジュールも含まれています。つまり、Elicitは検索エンジン、質問応答AI、要約AI、データ抽出AIといった複数の技術を組み合わせ、論文調査という目的に最適化された統合システムです。
  • 対応言語: 主に英語の学術論文を対象としています。インターフェースおよび処理は英語基準で設計されており、データベースにも英語論文が大半を占めます。日本語など他言語の論文には対応しておらず、質問も英語で入力することが想定されています(日本語で質問した場合の挙動は限定的です)。したがって基本的には英語圏の研究者向けのサービスです。
  • 料金体系: Basic(無料): 論文検索や一部基本機能は無料で利用できます。無料では月20件までのPDFデータ抽出や1回の質問で扱える論文数の制限(同時に4本程度まで)があります。Plus: 月額12ドル(年額120ドル)で、検索やPDF抽出の上限が緩和され、月50本(年間600本)のPDFデータ抽出や、一度に8本までの論文をまとめて要約・対話できるなど研究の深度が増します。Pro: 月額49ドル(年額499ドル)で、月200本(年間2400本)までのPDFデータ抽出、20項目までのデータ抽出テーブル作成、高精度の自動データ抽出列の無制限利用が可能になり、さらに系統的レビュー支援のフル機能(論文の一括アップロード・スクリーニング・自動レポート作成等)が提供されます。Team: 複数人の研究チーム向けプランもあり、月300本(年3600本)のPDF抽出をチームで共有でき、ノートやレビューの共同編集機能、チーム管理機能などが追加されます(料金は利用人数等に応じたカスタム設定)。
  • 主なターゲットユーザー: 学術研究者(大学・研究所)、大学院生、エビデンスに基づいた調査が必要な業界の専門家(製薬企業のメディカルアフェアーズ担当者など)です。特に医学や社会科学分野などで体系的文献レビューを行う研究者に有用で、従来は何ヶ月もかかった文献サーベイを短期間で下調べできるツールとして注目されています。また、論文執筆時の関連研究の整理や、新しい研究テーマの下調べを効率化したい研究者にも広く使われています。一般のウェブ検索では得られない専門知識を、論文という一次情報から得たい層が主なユーザーです。
  • データソース: Semantic Scholarなど学術文献データベースに収録された約1億2500万件の論文情報をバックエンドに持ちます。タイトル・要旨レベルでの検索結果からオープンアクセスの論文本文を取得し、その全文テキストをAIが処理します。ユーザーがPDFをアップロードした場合はその内容もOCR/解析して利用可能です。回答や要約は必ず論文にもとづく形で出力され、論文タイトルやリンクが提示されるため裏付けを確認できます。Web上の不確かな情報には依存せず、学術的に査読された情報源またはユーザー提供の文献に限定している点で、他の汎用AI検索と一線を画します。
  • 競争優位性: 学術文献レビューという特定領域に特化しているため、その領域では一般的なチャットボット以上に有用な機能を備えています。何十本もの論文を読む労力を劇的に軽減し、重要ポイントの要約やデータ抽出を自動化します。単に文章生成するだけでなく、ユーザーがエビデンスを追跡できるよう論文出典が明示されるため信頼性も高いです。特に系統的レビュー支援機能は、検索からレポート作成まで一貫してサポートでき、市販の文献管理ソフトや汎用AIには真似できないElicit独自の強みです。専門研究者向けのニッチなツールではありますが、その分野では「なくてはならない」存在になりつつあり、研究効率を飛躍的に高める点で競争優位に立っています。

【Deep Research 7サービスの用途別おすすめガイド】

Deep Researchの結果をもとに用途別おすすめをまとめてみました

1. OpenAI(ChatGPT Deep Research)

  • こんな用途におすすめ:
    • 本格的な市場調査やビジネス分析、調査報道レベルの深掘りが必要なケース
    • 高い精度と包括的な分析レポートが求められる専門性の高い仕事
  • ポイント:
    • 自律的にウェブ検索や文献調査を行い、膨大な情報を短時間でレポート化
    • 価格は高額だが、プロ向けの機能と強力なモデルでハイレベルなサポート

2. xAI(Grok)

  • こんな用途におすすめ:
    • リアルタイムのSNS情報(X/Twitter)を活用したトレンド調査や話題分析
    • ChatGPTとはひと味違う個性的なAIとのやり取りを試したい、テック好き・SNSヘビーユーザー
  • ポイント:
    • X(Twitter)上の最新動向を直接取得できる
    • 独自モデルGrokによる高い推論能力+ユニークな会話スタイル

3. Perplexity AI

  • こんな用途におすすめ:
    • 普段のウェブ検索をもっと効率化したい人
    • 簡単な調べものから論文探索まで幅広いニーズをカバーしたいユーザー
    • 「出典付きの回答」が欲しい人(ニュースや学術サイトなどソースを確認したい)
  • ポイント:
    • 基本機能は無料で使え、要約と出典を提示してくれるAI検索エンジン
    • 有料プランではGPT-4など高度なモデルも選べ、ファイル分析・共同作業も可能

4. Google(Gemini Deep Research)

  • こんな用途におすすめ:
    • Google検索の強力なインデックスを活かし、短時間で広範なWeb情報を網羅したい
    • ドキュメントやスプレッドシートへの連携、Googleエコシステムで一貫した作業をしたい
  • ポイント:
    • Googleの次世代AI「Gemini」を基盤にした調査エージェント
    • 有料プラン加入者限定の高度機能で、包括的な検索と大容量テキスト解析に強み

5. Scira

  • こんな用途におすすめ:
    • 「無料で」オープンソースのDeep Research機能を試してみたい
    • 画像解析や計算実行など、多彩な機能を1つのプラットフォームで利用したい開発者
  • ポイント:
    • 無料+オープンソースで高い機能性
    • 複数のLLMを組み合わせて検索やデータ分析を行い、多面的に回答を生成

6. Kompas AI

  • こんな用途におすすめ:
    • レポートやホワイトペーパーなど“まとまった成果物”が必要なビジネスや研究用途
    • マルチエージェント方式で、最初から調査計画~最終レポート作成までを自動化したい
  • ポイント:
    • 有料サービスだが、複数のエージェントが同時に動き大規模なリサーチを一気にこなす
    • AI編集機能で仕上がりの文書をカスタマイズしやすい

7. Elicit

  • こんな用途におすすめ:
    • 学術研究や論文レビューに特化して効率を上げたい(医学や社会科学など)
    • 文献の検索~要約~データ抽出~レポート作成まで、一連の学術調査をカバーしたい
  • ポイント:
    • 論文データベースを横断し、研究分野の文献探索・系統的レビューがしやすい
    • PDFからの表・数値抽出が強力で、学術研究者向け機能が豊富

【まとめ】

Deep Researchサービスには、それぞれ強みや活用領域が異なります。オールマイティに使いたいならPerplexity AIやGoogle Gemini、無料かつカスタマイズ性を重視するならScira、学術論文の整理・レビューならElicit、本格的なビジネスリサーチや徹底的な分析が必要な人はOpenAIのDeep ResearchエージェントかKompas AI、SNSトレンドを重視するならxAI(Grok)など、目的に応じて選ぶのがポイントです。

いずれのサービスも、従来の手作業での情報収集や文献探索に比べれば圧倒的に効率が向上します。ぜひ自身の用途や予算、必要とする機能を見極めながら、最適なAIリサーチツールを選んでみてください。

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